October 16, 2009

パブコメの件で訂正!

先日のコメント.でパブコメに意見を応募するぞと宣言してしまったこともあって、読み込んでみようと、改正案をプリントアウトしてみた。

あれ。解散前に可決した法改正のうち、技能実習生についての部分だけだね。こりゃちょっと守備範囲を超えちゃうなぁ。3年後の実施に向けて動いているので、まだ施行規則の改正なんて、早すぎるよね。アー勘違い。

住基がらみのところについては、現在 総務省の研究会「外国人住民に係る住民基本台帳制度への移行等に関する実務研究会」 が設置されており、どうやら先日中間報告なるものが発表されている。まずは、こっちにあたってみよう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 14, 2009

外国人登録制度の廃止と新たな在留管理制度

以下の原稿は会報(2009年8月号)のために2009年6月21日に書いたものです。先議の衆院の審議の最終段階ですが、この後国会は解散へと急展開した結果、ほとんど参院で議論されることなく、そのまま可決・成立することになりました。現在法務省はこの改正に関する施行規則の改正案をパブコメにかけ、11月6日まで意見を募集しています。何か意見を出そうという方はこちらから。おいらもぜひ意見を出したいと思っています



  通常国会で、AMF(国際結婚を考える会)審議中の二つの法案が、外国籍住民の登録制度を大きく変えようとしている。戦後間もなく制度化された外国人登録制度を廃止して、これまで日本人に限定していた住民基本台帳(以下「住基」)に、外国人も載せようというのだ。これまで排除されてきた外国人を住基に載せることで、日常生活や行政サービスの中で生じていた差別感や疎外感を少なくすることができる。この点では大きな前進となる改正であると言えるだろう。本稿は国会で審議中という段階で執筆しており、可能な限り最新の情報を注記の形で加えることにする。もし法案が可決成立しても施行まで3年の準備が必要だということだが、政府の法案をもとに、AMFの会員の皆さんに、配偶者等や一般永住者を対象にした在留カードに的を絞って、新たな登録制度のポイントを紹介することにしたい。

 他方、在日の方々を対象にした特別永住者証については、紙面の都合もあり、残念ながら別の機会に改めて紹介したいと思うので御容赦いただきたい。



■制度改正の背景
「不良外国人対策」と情報システムの刷新


 新しい制度の説明に入る前に、改正の経緯についてひとつだけ指摘しておこう。

 それは、議論の直接の契機が、広島の幼児殺害事件に代表される諸事件や子どもたちの不就学問題という社会的な不安感だったということだ。このため今回の法案には、いわゆる「不良外国人対策」や「アメとムチ」という発想が色濃く現れている。法案には住基への編入や再入国許可の取得を一部免除する一方で、離婚や死別の届出が義務化されたり、「配偶者としての活動」を行なわなければ在留資格を取り消すという「ムチ」も用意されている。



■「中長期在留者」と在留カード

 では、さっそく在留カードの紹介に移ろう。

 まずこのカードの対象となるのは、「中長期在留者」と呼ばれる外国人である。中長期在留者というのは、3か月を超える在留期間を与えられ国内に在留する外国人から、「特別永住者」、「外交」、および「公用」在留資格を持つ者を除外する。一般の永住者も在留カードの対象に含まれる一方で、婚約を理由に取得した「短期滞在」や、日本人配偶者と暮らしていても在留資格のない外国人は対象外となる。注1

 在留カードの券面に表記されるのは、氏名、生年月日、国籍、在留資格、在留期限、就労範囲、資格外活動許可の有無、およびカード番号である。在留カードについての事務は、市町村が行なう住民基本台帳の事務とは切り離されているため、市区町村はタッチしない原則であり、ほとんどの手続きが入国管理局で行われることになる。

 これまで外国人登録カードでは、交付申請も市区町村の窓口が受け付けていたし、カードも市区町村の窓口で受け取ることができた。しかし、改正後は、住所や転居の届け出以外は、すべて入国管理局が行なう。 まず、新規の在留カードは、入国審査や在留資格の審査に合わせ入国管理局も交付申請し、即日交付ということになる。ただし、在留カードを初めて受け取る場合には、券面に住所の記載はなく、引き続き市区町村で住基関係の届け行なう必要がある。



■住基への記載届と住所変更

 住基に関する届出は、もちろんのことだが、全て市区町村に対して行わなければならない。住基へ初めて記載を申請するためには、新規に在留カードの交付を受けてから14日以内に、カードを持参して市区町村の窓口に行なければならない。

 市区町村の窓口では、住基の記載と同一の住所を在留カードに書き込み在留カードは完成となる。市区町村は、住所を入国管理局に送達するので、とくに住所だけについての届出を入国管理局にする必要はない。 改正法の施行時には、外国人登録にあるデータがいったん住基に移されて仮の台帳が作られる。在留カードの発行後に市区町村役場への出頭が求められ、そのときに正式な台帳に格上げすることになる。



■住所変更は市区町村へ

 在留カードの保有者が転居した場合は、その届出を市区町村に対して行わなければならない。住基カードを利用しないで他の市区町村に転出する場合は、事前に転出の届も必要となる。期限は転居から14日以内。市区町村から転居先が送達されるので、入国管理局には転居を届け出る必要はない。



■氏名・国籍等の変更は入国管理局へ

 券面に表記されている事項のうち、住所以外のデータに変更が生じたときには、入国管理局に届け出て変更・訂正しなければならない。氏名や国籍が変更された場合や、生年月日を訂正するには、市区町村に届け出るだけでなく入国管理局にも14日以内に届け出る必要がある。氏名や国籍等の変更は、入国管理局から市区町村に通知され、住基上のデータも自動的に変更される。

 また、紛失や盗難や汚損に伴うカードの再発行の申請や、死亡や再入国許可の期限内に再入国せずカードを返納しなければならない場合も、市町村ではなく入国管理局に対して行わなければならない。こうした手続きはそれほど頻繁に必要になることではないとはいえ、より遠方の入国管理局に出向かなければならなくなる。



■在留カードの有効期限

 在留カードの有効期限は、在留資格の期限までとなる。在留資格変更や在留期限の更新の度に新たなカードの交付を受け、中長期在留者でなくなる場合は、カードを返納しなくてはならない。永住者の場合は外登カードと同様に7年ごとの更新になる。ちなみに、住基カードの有効期限も交付時の在留資格期限までとなる。



■離婚や死別や出生

 婚姻を主な理由として「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」や「定住者」の在留資格を得ている外国人には、配偶者との離婚や死別も14日以内に入国管理局に届け出なければならない。また、「世帯主」になっていない外国人は、住基上の変更の届もやはり14日以内に届け出なければならない。

 また、外国籍となる新生児の出生と日本国籍からの離脱の場合だけは、在留資格を取得する前であっても住基に記載することができる。出生の届出とともに、手続きができるようになるだろう。なお、これまでと同じように、60日以内に在留資格を申請する必要がある。



■届出の遅れは厳罰に

 住所の変更を実態どおりに常に正確に把握することが、今回の法改正の大きな狙いのひとつになっている。このため、住基への記載の届や住所変更の届の遅延は、厳しく罰されることになりそうだ。住基の記載届けや住所変更の届けは14日以内にということだが、もし90日を超えて遅延すれば、在留資格の取り消し事由となり、届け出なかった者には20万円以下の罰金もある。行政罰でだけはなく、刑事罰とされたことで、警察の捜査・摘発の理由にもなりうる。虚偽の届出以外は明確な罰則の規定がなかった外国人登録制度とはこの点が大きくことなる。

 なお、住所変更の遅れでも、夫から逃れるために住所変更を避ける必要のあるDV被害者については、厳罰の規定から除外されることになっている。



■みなし再入国許可

 一時的な出国に必要な再入国許可は、事前に手数料を払って申請して取得しなければならない。今回、その手続きを免除する「みなし再入国許可」の規定が新設されたのは朗報のひとつだ。出国時に再入国する意図を示すだけで、中長期在留者なら出国より1年以内か在留期限までのどちらか短い方の期間内、特別永住者は最長2年間までなら再入国許可ができる。ただし、免除されるのは、在留カードか特別永住者証明証と有効なパスポートを持っている外国人に限られる。母国の旅券を持ちえない難民や、国交がなく形式的に旅券が有効だと認められていない北朝鮮籍の方々は、これまで通りの再入国許可が必要になる。



■「配偶者としての活動」と在留資格の取消

 さて、今回の改正で、在留資格の取り消しの理由となりうる事項がいくつか増えたのだが、国際結婚関係者ならば見過ごせないのは、婚姻を主な理由として「日本人(永住者)の配偶者等」の資格を得ている外国籍配偶者をターゲットにした「配偶者の身分を有する者としての活動を継続して三月以上行わない」場合という取消事由であろう。(注2)

 在留資格の取り消しといういわば決定的な影響を与えるペナルティを課すにしては、配偶者としての活動とはなんぞやというところが、たいへん曖昧模糊としてしまっている。法律としては、たいへん奇妙というか稚拙になってしまった規定である。

 離婚協議なら有責者となるような日本人配偶者や永住者でも、この規定を念頭に相手を告発して、有利な立場に立とうとしたり、そこまでしなくても脅しに利用する輩が現れるに違いない。

 単なる「偽装結婚対策」にすぎないと国会では答弁されているが、現行法でも在留資格の更新を許可しないだけで3年以内に同様の効果が得られるにもかかわらず、あえてこの規定を使うメリットがどこにあるのか。離婚や死別後の届出と連動させれば、帰国か定住者や永住者への資格変更を促すようなこともできるだろう。しかし、別居や配偶者がいなくなってしまったような状況を想定するとなると、なかなか実際の運用を想像しにくい規定だ。



■国籍法の意趣返し

「配偶者としての活動」の規定については、野党の修正申し入れにもかかわらず、先議の衆院段階では政府与党がかたくなに応じようとしなかった。どうやら昨年08年末の国籍法改正のとき、偽装問題に過敏な反応を示し「不良外国人」の追放を声高に叫ぶことに使命感をみいだした与党の一部議員達が強く要求した影響が考えられる。いわば国籍法の仇をこの改正で打つような意趣返しようなところを感じるのだ。

 学校も企業も派遣業者もそして配偶者も、報告は面倒だが自分に都合の良いところだけ情報提供をすることになるだろう。一方、外国人本人には、集められた自分自身の情報をチェックすることすらできない。

 情報システムを駆使して、あらゆるところからニューカマーの外国人の情報を集め、「不良外国人」を見つけようという手法を極めると、入国管理局の権限を強めるだけでなく、彼らに情報提供の協力を請われている周囲の日本人の立場を相対的に強くすると、私は憂慮している。



■情報システムの刷新と不良外国人対策

 以上、国際結婚家族の視点から、新しい外国人登録制度の紹介してきたが、冒頭で指摘した「不良外国人対策」からはじまり「アメとムチ」の発想を持つことを確認していただけただろうか。

 最後に、会報係の方の依頼には含まれていなかったことだが、今後のために私が重要だと思う改正議論の二つ目のポイントを紹介しておきたい。それは、今回の改正が、入国管理局の情報管理システムの更新作業が本格化している中で議論されているということである。

 在留資格の審査を担当している入国管理局は、婚姻関係にとどまらず職業や収入や学業といった、多岐にわたる個人情報を日常的に集めているという点で極めて特殊な行政組織である。しかも、個人をこの社会から追放するまでの強い権限を持っており、たとえば、定義しだいで「不良外国人」を自動的にリストアップするというようなことだって、技術的には容易だということだ。

 たしかに今回の改正議論の流れを大まかに描くと次のようになる。(1)まず「不良外国人対策」を重視する立場から、入国管理局へ情報の一極集中を想定した案が提起された。しかし、(2)自治体側も利用しやすい自己が管理できる台帳を求め、在留管理カードシステムと住基に分けられた。とはいえ、(3)自発的な届出が期待できるほどの魅力が行政サービスにないという自治体側の弱みから、在留資格の審査を担保に届出を強制するというところに落ち着く。その結果、(4)両者は完全には分離されず、部分的だが基本的な個人データを共有した。

 私が注目しているのは、将来的にはどのような「連携」もできる基盤を確保したということである。



■今後の諸テーマ

 改正案には盛り込まれなかったが、主に日系人を想定して就学状況、納税状況、健康保険・公的年金の加入状況を入国管理局の在留カードシステムに自動送信すべきと唱える方々がいる。外国籍配偶者を想定すれば、日本人(永住・定住外国人)配偶者の氏名など基本データから所得額や納税状況といった情報だって、新たな法律を作れば送信できるだろう。そうした情報システムを「便利で公正」、あるいは「効率的」な行政サービスの基盤として歓迎するべきだろうか…。

「不良外国人対策」と「情報システムの刷新」は実は不可分な関係であり、おそらく今回をスタート地点として、数年や数十年といったスパンで問われるテーマとなるだろう。そういう意味でも、時代を大きく画する改正だと思われるのである。私は、行政サービスの整備は求めつつも、ジョージオーエルの「1984」や映画「Matrix」シリーズ流のオーソドックスな視点で警戒したいのだが、皆さんはいかがだろうか?



注1:衆院では、難民申請や在留特別許可の審査中である「仮放免」の対象者を、住基に載せることにして、参院に送付している

注2::衆院では「六月以上」に修正し参院に送付している



※各種パンフレットや基本的な資料は次のWebサイトに収録されている。

排除ではなく「共生」のための制度を

| | Comments (2) | TrackBack (0)

April 25, 2009

入管法改正審議ぼうちょうメモ 2009 No3. 大口・衆院法務委員会

引き続きマルチポストで失礼しながら、傍聴メモをお届けします。

与党3番目は、公明党の大口議員の質問です。
赤池議員が1時間11分、近江屋議員が36分でしたから、公明党は与党の4分の
1という
時間配分ということになります。

自公体制になって以後、入管法の審議では公明党が
影響力を発揮する場合も少なくありません。
今回はどうでしょう?

質問を聞く限り、法案前の段階でそれほど影響力を発揮した形跡は
感じられません。

このメモでは省略されていますが、カンザキ氏ら公明党幹部と
再入国許可や携帯義務の撤廃を求めたとか、繰り返し経緯を
披露しています。

H11年の外登法改正以来、
常時携帯義務違反で特別永住者に過料を課したケースはゼロだという
答弁には、「やはり」と思いました。

さて、審議が進むうちに、いくつかのキーワード・キーフレーズが
生まれるものです。

前回も指摘しましたが、
「(特別永住者の常時携帯義務)法務省案としてはベスト、立法府で真摯なご議
論を」
という森大臣の答弁がまた出てきます。
これは新フレーズ?

また、偽装結婚、偽装留学、偽装認知をひっくるめ、
「偽装在留」と呼んでいます。
うんざりではありますが、
これも今法案で生まれた新用語でありましょう。

また、特別永住者のカードの更新申請は代理人でもOKなんでしたっけ?
日頃の勉強不足がたたり、
今回は変なメモやコメントを
お届けしてしまいかねないと不安になっています。

----------------------------------------


(以下は、ネット中継しながらの傍聴メモです。
 正確性よりも速報性を重視したものなので
 語句等の不正確な点はなにとぞご了承ください。)


大口善徳(公明党)(40分)
日弁連も懸念をしめしている。
個人の細部に生活を監視することになる。
犯罪の温床という偏見を助長する。
情報の自己コントロール権。
外国人との差別的な取扱いを禁止することとの整合性。
なぜ、管理を強化する必要があるのか、立法の根拠となる事実を確認しなけれ
ばならない。
そういった懸念が示されているが、どのようにこたえるのか。

森法務大臣
在留期間の上限や再入国許可制度の緩和をする。
届け出も真に必要なものだけに限定した。
20項目のうち14項目に変更の届け出が必要だが、
新制度では、本人による届け出義務を、
氏名、生年月日、住所、性別、国籍の5項目に限定した。

所属機関や身分関係の届け出については、在留資格に応じ必要な範囲内で、届
け出させる。
所帯に関する情報は、住基法の届け出とし、入管法上の届け出は課さない。
必要な情報に限定しているため、御懸念のようなことは生じないと考えている。

大口
居住関係の正確な把握が必要だということから、昨年度外国人在留制度に関す
る懇談会が開催された。
そのなかで外国人の有識者からもヒアリングしているが、
手続きの一本化がのぞましい。
通称名についても、
開示は住基と一緒が望ましい。
未来志向、人権尊重をふくめた共生をはかるものが望ましい。
こうした意見がどのように取り入れられているのか。


住基法の改正案を提出している。
市町村においては外国人も日本人と同様に正確適切に把握する。
行政サービスのワンストップ化が図られる。
日本人と外国人の世帯についても、世帯全員を記載した住民票が交付できる。
こういった利便の増進が図られている。
こうしたところに反映されている。

大口
H15年12月より半減計画が推進され22万人から11万人になり達成された。
小口化分散化されて摘発しにくくなった。巧妙になった。
摘発の人数は、件数は増えたが、減少傾向にある。

政策には目標が必要である。
新しい制度が構築されることによって、
半減計画に続く5カ年計画が必要であると思うがいかがか。
不法滞在者をどれくらいの期間でどれくらい減少させるのか。
国民に目標を示すことが必要ではないか。


偽装結婚や偽装留学など、偽装対策が必要。
偽装滞在対策は、数よりも質という問題。
数値目標は立てない。

大口
国民に分かりやすい目標を。

在留期間の上限の伸長について、
在留資格によっては、5年よりも長くてもよいのではないか。
5年の趣旨は?

石川
外国人の状況の変化を把握しつつも、少なくとも5年に一度は必要。
米国では高度人材でも3年が上限になっている。短いということは
ないと考えている。

大口
みなし再入国許可制度だが、その新設の経緯や諸外国の状況をうかがいたい。

石川
みなし再入国制度は、従前から各方面から要望を受けていた。
各国では
米国、韓国では、1年以内についてあえて何らかの許可は不要となっている。
これを参考にした。

大口
有効な旅券ということについては、近江屋委員も指摘しているが、
私もその問題点を指摘しておきたい。

私は、鳩山大臣のときに、再入国許可制度の改正を訴えたことがある。
外国籍を持つとはいえ、日本に生活の拠点があるのだから、
10年とせずに6年としたのは?


2年以内としたのは特別永住者については、歴史的な経緯に配慮したもの。
在外公館での延長手続きを含めると最大7年までは海外での滞在が可能である。
7年に1度ぐらいはかえってきてくださいよということ。

大口
一般永住の方には特別永住に準じた扱いにしなかった理由は?

石川
永住者については、特別永住者のような歴史的な特別な経緯が存在しない。

大口
一般永住者にもきめ細かな配慮が必要ではないかと思う。


在留カードの更新については、最大7年が有効期間になっている。
その影響をもっとも受けるのは、特別永住者ではないか。
原則として本人の入国管理局への出頭が必要だが、
市区町村役場よりも遠い場合が多く負担にならないか。
義務履行の確保にも問題があると思う。

石川
新たな在留カードの交付が伴う、氏名、国籍、生年月日、性別の変更について
は、入国管理局への出頭が必要。
在留資格の更新でも入国管理局への出頭が必要であり負担増ではない。

永住者が7年に一回とはいえ入国管理局で更新しなければならない。負担増で
はあるが、弁護士や行政書士など代理申請の範囲を広げることで過度にならな
いと考えている。

大口
常時携帯義務については、
平成11年の衆参の付帯決議でも検討を求めている。
立法府の付帯決議を踏まえ、常時携帯義務、とりわけ特別永住者のそれについ
てどのような検討を行ったのか。


検討したところだが、不法滞在者の減少のため、なりすましの危惧もあり、即
時的な証明を求める必要がある

大口
我々は、特別永住者の常時携帯義務の廃止を求めてきた。
即時に証明を求めなければならないという理由は不十分である。
特別永住者の常時義務違反については、現行通り過料の行政罰にしている。
平成11年の外登法の議論で、20万以下の刑事罰である罰金から、10万円以下
の過料に修正されたうえで、「いやしくも乱用のないこと」とされた。
運用面において十分な配慮をしていただきたいとお答もいただいた。

以後、常時義務違反で過料を適用したケースはどれくらいあるのか。


ありません。

大口
行政罰を設けても、実際は適用がなくても問題がないわけである。
即時に身分関係や居住関係を証明すると言っても実効性があるのか。
10万以下の過料を存続させる必要性はないのではないか。


社会秩序、治安、不法滞在者の抑止に責任を持つものとしては、これが最善の
案。
これ以上のことをこの場で申し上げるのはお許し願いたい。
この場での真摯なご議論をいただきたい。

大口
30万人の留学生を受け入れる計画だが、
世界で受け入れ競争が激しくなっている。
どのくらいの方が、就学から留学に変更しているのか。
現行制度で、2年から1年間となっているが、どうして更新が必要なのか。
5年の根拠は?

石川
変更許可人数はH20で約1万人。
定期的に確認する必要があり1年または2年となっているが、新制度では在留
状況の把握ができるため、たとえば4年という期間の新設を予定している。
-------------------(メモ終了)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

入管法改正審議メモ 2009 No2. 近江屋・衆院法務委員会

引き続きマルチポストで失礼しながら、傍聴メモをお届けします。
(前回は「膨張メモ」と記して突っ込まれてしまいました。)

自民党の2番手は、近江屋氏です。かの小泉旋風で当選を果たした議員ですが、次は
どうなっているのでしょうか。
党職が長く、Wikiをみると
「党職員としての経歴が長く、政治の現場に精通していることから、当選直後の言動
で注目を浴びていた杉村太蔵議員の教育係も努めた。」
なんてコメントされています。

質問では、かなりの時間を特別永住者について割いています。
みなし再入国許可における旅券の問題について、パレスチナ自治政府のものより劣る
と扱うのはどうか?
なんて聞いていますが、そこは「高度な政治的な問題で法務省としては…」という答
弁に。

常時携帯義務については特別永住者には不要だという見識から質問。
森法務大臣は、
「取り締まる立場の法務省からはベストの法案、あとは国会でやってよね」
という答弁でした。
こうした答え方は、初めて見るのですが、
無責任なやりかたにも映るし、ポジティブにとらえるべきなのか…。

法務委員は、たいてい(一番手のような方は別ですが)法律の専門家という
プライドを持っているので、与党でも、そこらへんのプライドを示したい
という欲求を持っているものです。
近江屋氏にも、そこらへんを垣間見ることができます。

通告なしに他国の常時携帯義務について質問していますが、
英国についての答弁はこれでいいのかしら?

(以下は、ネット中継しながらの傍聴メモです。
 正確性よりも速報性を重視したものなので
 語句等の不正確な点はなにとぞご了承ください。)

---------------------------------------

近江屋信広(自由民主党)(36分)

どんな問題点があるのか、どう改められるのか具体的にしめせ。

森法務大臣

市区町村の実施している外国人登録をつかう。在留状況と居住実態の
把握が難しい。
法務大臣が、継続的に集中的に捕捉できる。

近江屋
いわば点の管理から線の管理に改め、法務大臣がしっかり把握してい
こうという、適切な改正だと思うが、きちんと機能するように運用し
ていただきたい。

不法滞在者はどのくらいいるのか。うち不法残留、不法入国者はどれ
くらいか。
対象とする外国人に在留カードを交付するわけだが、不法滞在を減ら
していく効果はあるのか。
どのくらい減らすことができるのか。その見込は?

石川入国管理局長。
本年1月1ぴ 11万3千人余り。不法入国は1万5千から2万3千の
間と見込んでいる。
不法滞在者にも外国人登録証が交付されているが、
新たな在留カードは発行しない。
雇用主にも分かりやすいよう、就労の可否を明記する。

近江屋
窓口で適性に運用する措置はどのようなものがあるのか。
義務を理解してもらうことも必要。

石川
各国語版のポスターを入国管理局に掲示する。
公布の日から3年いないで施行する。
窓口でパンフレットを配布し周知する。在外公館党でも周知徹底する。

近江屋
不法滞在者を根絶するように警察とも連携して摘発・取り締まりにご
尽力を。
適法に在留する外国人には便利になると聞いている。
在留期限や就労資格を明記するのは外国人にも利便性がある。
正確に継続的に把握することが必要だと思うが法務大臣の所見を。


3年から5年に延ばすこと。
1年以上の在留資格があれば再入国許可を原則不要とすることなど、
利便性の向上を図る。

従来は点の把握だったが、正確かつ継続的に把握することが可能。
前向きに活用することができる。

近江屋
特別永住者についてであるが、現在どのくらいおられるのか。
北朝鮮、中国、台湾といった国籍別に。

石川
平成12月現在暫定値で、42万人
韓国朝鮮 41万6千人、中国=台湾が3千人です。

近江屋
法的地位はどのようなものか。

石川
日本国との平和条約に置いて日本国籍を離脱…、という方々。
在留について特例が認められている。

近江屋
韓国籍・北朝鮮籍、台湾籍の方々の旅券の扱いはどうなるのか。

石川
台湾・韓国は旅券と永住者証明書を所持していれば2年以内の出国なら
再入国許可は不要。
北朝鮮籍の場合は、当該旅券が入管法の旅券にあたらないため、再入
国許可をあらかじめ取得して出国する必要がある。

近江屋
新法の23条にそのことが書いてあるが、そういう区別が生じている
わけですね。
台湾とパレスチナの自治政府が
パレスチナより北朝鮮籍の人の方が、扱いが良くないことには、
異論があると思うが。

石川
入管法上の規定の枠組み上の問題である。

近江屋
台湾、パレスチナと同様の扱いをすることが可能ではないのか。

石川
それは、北朝鮮の旅券を有効と認めるかどうかという政治的に
高度な判断が必要。

近江屋
しかるべく関係方面で検討していただくことになるのかと思う。
常時携帯義務の必要性・意義を教えられたい。

石川
不法滞在者が多数いる現在の状況で、身分関係、居住関係、
在留資格の有無を即座に把握する必要があるため。
特別永住者にも、特段の配慮が必要であるが、罰金から過料に
変更されたが、なお即座に把握する必要性があり維持する必要がある。

近江屋
即時に把握する必要性があるという点は、私はふに落ちない。
新法でも踏襲されているが、それでいいのか。
国連の自由権委員会の指摘も踏まえながら、もう少しそれぞれの
立場にたったきめ細やかな制度の在り方を、今後研究・検討して
いただきたいと思う。その点いかがか。

石川
やはり日本人とはことなりまして、身分関係その他について、
まさに現場で証明していただく必要がある。その必要性はいさ
さかも減じていない。
特別永住者については、外国人であることにはかわりありません。
特別永住者になり済ますという事案についても発生の危険性が
あるわけで、現段階では、常時携帯義務を維持する必要性がある。

近江屋
常時携帯義務は、諸外国ではどういうなっているのか。

石川

近江屋
そこは通告していませんでした。国連の人権委員会の勧告も踏まえ、
いっしょに研究していきたいと思うのでよろしく。

近江屋
家庭をもち、納税を果たし、日本社会の存立に貢献している人たちが
多数おられる。日本人とわだかまりもなく共生していくというのが望ましい。
特別永住者と日本人との一元化に向けて検討していく時期ではないかと思う。

北朝鮮にかんすることであるが、平成2年自民党の幹事長に随行して
ピョンヤンに行ったことがある。抑留された船長と機関士の帰国を
交渉し連れ帰ったことがある。
毅然とした態度も必要ではあるが、小泉元総理も訪朝して拉致被害者を
連れ帰った。そういう行動も必要だ。日朝両国が政府を承認して、
北朝鮮籍の特別永住者も再入国許可が不要になるわけですが、そういう
ところへの努力も必要だ。


どうしてそういう違いが出てくるのか。国同士の関係の問題もある。
法務省において、それを同列に扱うのは困難。局長も答弁するのは困難だ。
入管当局としてはこれがベストの案。このようなことは、むしろ国会で
こそご議論いただきたいところだが、私たちとしてはこれがベストの
案だと思っているということ。

近江屋
ぜひ議論の大きなテーマとしていきたい。
諸外国の例は分かったか。

石川
手元の資料で完全ではないが、同様な登録制度、カードの利用をしている。
常時携帯義務と提示義務違反については、フランスは刑事罰、ドイツは
ひつよう(?)罰に処せられる。
米国は永住者においても提示義務を課し違反は刑事罰、韓国も刑事罰、
イギリスは指紋をシステムやカードに登録する制度があるので、
携帯義務・提示義務を課していない。

近江屋
成立後3年経過したら、日朝関係もどうなっているかわかりません。
両国で努力すべきことであり、変化への対応も、準備しておかなけれ
ばならない。

-------------------(メモ終了)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

入管法改正審議メモ 2009 No1. 赤池質問・衆院法務委員会

皆様、御無沙汰しておりました。
御存じのように、
本日より、出入国管理法改正案の審議が、衆院法務委員会で始まりました。
速報的に、あっしの膨張、いや傍聴メモをお届けします。

まず、趣旨説明と与党である自公の議員からの質問です。

与党の先頭バッターは、
「犯罪者であるカルデロンになんで在留特別許可なんかだしたんだぁ!」と、
排外マニアな質問を繰り出したばかりである、かの赤池氏。

もちろん、またまたブッてくれたのは言うまでもありません。
答弁からは、同氏が様々な機会に吠えていたことがうかがえます。

「素朴な疑問」が大好きな彼ですが、あっしの素朴な疑問は、
現在の登録証は誤解されるような代物だというくせに、
「在留期限到来後の在留カードを提示されたら、一般国民が誤解してしまうの
では?」
と質問しないのはなぜなのかということです。
「在留資格の期限終了後は、在留カードの券面表示が消えるよう、最新テクノ
ロジーを駆使しなさい!」
と、ぜひ食い下がればいいじゃないか!

話題がそれてしまいました。
中盤では、国保、生保、雇用保険について「不法滞在者は従来より対象外」と
答弁させています。国保・生保は、92年でしたか在留資格がないとダメという
ことに
変更され、それでも多方面から例外を作り、裁判でも争ってきたところ。
要するにあちらは「だから改正による悪影響はないのだ」という論法です。

今回、印象深かったのは、「調査に協力しないものに罰則はないのか?」
という質問に対して、
「本人は在留資格の審査で不利になるから協力するだろう。
 本人の在留を望む勤務先や学校も協力するにちがいない」
という趣旨の答弁をしているシーン。

その答えじゃあ、本人の在留を望まない勤務先や学校(や配偶者)は
調査できなくなくてもしょうがない(=する気がない)ということじゃん。
ああ、こうして
「行政(入国管理局) > 受益者たる日本人 > 外国人」
という力関係を強化するのがこの改正の狙いってことよね。
そんな思いを強くしました。




(以下は、ネット中継しながらの傍聴メモです。
 正確性よりも速報性を重視したものなので
 語句等の不正確な点はご了承ください。)

---------------------------
赤池誠章(自由民主党)(1時間 11分)

大臣趣旨説明のとおり国際化のなかで、外国人登録者数は900万人。
不況のなかで昨年後半には減じているとはいえ、大勢の方が多い。
不法残留が22万人もいる。治安大国日本にとって大変なこと。
半減プロジェクトによって11万人にまで下がったが、中国、韓国、
フィリピンはまだ多い。
前回の質問でもしたが、ルールを守って国際化ということで。
我が国にとって好ましくない外国人は退去強制をさせるということ。
人権・人道のためもあれ、あくまで日本人のため、日本のために
出入国管理行政は行われるべき。

外国人犯罪の増加というのは数字的な問題以上に、体感治安というかが
悪くなっている。
半減プロジェクトを実施した法務省、まずは警察としっかり連携して、
過去5年間で7万人を摘発している。
しかし、巧妙になっている。地方分散化、居住や稼働が少人数・小口化し
て移動を繰り返し、ブローカーが介在しながら偽造書類も精巧なものに
なっている。犯罪手口が巧妙化していいると聞いている。と聞いている。

平成18年の改正により上陸審査時の生体情報認証導入の、成果と課題について
聞きたい

石川 入国管理局管理局長

 指紋提供の拒否者は、1名で、この方については即刻退去していただいた。

赤池
日本、米国以外にも広がる可能性はあるのか。

石川

現在韓国で導入を検討されている。

赤池
お金のかかる話だが、これだけ有効に機能しているということであれば、
国際協力をこの面でも進めて関係各国に働きかけていくとよい。

課題として指摘された指紋偽装事件に関しても、犯罪集団というのはどん
な形にしても、なんとかするということは言われている。さっそく改善して
いただけたとのこと。難しいことはあるだろうが、情報収集しながら適宜
対応していただきたい。

半減したとはいえ未だに10万人以上の方がいらっしゃる。
毎年毎年不法入国される方もいらっしゃるのは間違いのないところです。

これだけやったからいいということではなく、さらに大変なことではあるが、
限りなくゼロに近づけるように頑張っていただきたい。

さて、今までの制度がどうだったのかを確認したい。

驚いたが、外国人登録カードが不法滞在の方に対しても発給されている。
そういう事実がある。登録書にわざわざ赤字で「在留資格なし」と書くわけ
だが、それはどういうことなのか。

石川
現在の登録法、第2条、3条のの規定により、不法滞在者も登録の義務があり、
登録された場合には市区町村の長は登録カードを発行しなければならない。

赤池
なぜ、登録法はそのような規定になっているのか。そもそも論だが

石川
いわゆるポツダム勅令として戦後創設されている。現在とは異なり、不法滞在
者は
少なく、不法滞在者といえば朝鮮半島からの流入の恐れがあるくらいだった。

赤池
行政サービスとしてはどうなっているのか。
それぞれの急にお越しいただいたかたに効かせていただきたい。
まず年金については

深川 厚生労働省
国民年金につきましては、国籍を問わず住所を有していれば対象となる。
外国籍の方については、外国人登録を行っているか否かで、住所地が日本に
あるかどうかが判断されている。
ただ、不法滞在ということになりますが、そういった方から保険料徴収は
困難でありますので、今般の改正によって大きな変化はないものと考えている。

当然と言えば当然のはなし。
健康保険についてはどうでしょうか。

江端審議官
市町村の国民健康保険については原稿でも、在留資格を有していなければ法令

対象外であり、改正による影響はうけない。

赤池
雇用保険はどうでしょうか。

大槻職業安定局次長
求職活動を支援するということですから、支援すべきでないということで対象
外。

生活保護

坂本審議官
日本人を対象、適法に在留する外国人に対しては予算措置をして準用するとい
うこと。
法改正による影響を受けるものではない。

児童手当についてはいかがでしょうか。

北村審議官
児童を養育する者が国内に住所を有する者を対象とし、不法滞在者は対象とし
ておりません。
児童手当の給付では、外国人登録原票により、在留資格を確認している。
今回の法改正にあたって、取扱いがかわるものではありません。

赤池
厚生労働行政に関しては、不法滞在者については今まで行政サービスをしてい
なかった。
新しい在留管理制度になってもなんら変わらないということがわかりました。

次に文科省はいかがでしょうか。

前川審議官文科省

保護者が義務教育小学校に入学を希望する場合においては、すべての子どもの
教育を
求める国際権利条約の規定に基づきまして、滞在の資格のいかんを問わず無償
での受け
入れを行っている。不法滞在の外国人についても、我が国に滞在する期間につ
いては、
同じ取扱いになっている。
この方針は今回の改正でも変更されるものではないと承知している。

赤池
厚生労働行政も変わらないし、文部科学行政もかわらない。
文科省は受け入れているから変わらないということ。
子どもに罪はないということはもっともだなと私も承知している。
ただ、法治国家日本では順法精神も大切な教育目標の一つ。
わからないといえばわからないのかもしれないが、登録証を観せたら一般の人
は、
合法だとおもう。それで大きな問題が出るのかもしれない。文科省はもともと
その点の
確認もしていない。
はたしてそれでいいのかと素朴な疑問も持っている。
半減政策を国の方針、

居住地だけであえてそれだけでいいよ。という通知も出したということだが、
これからは、ハッキリ在留カードということで分かるわけですが、このままで
いいのか。
もちろん、子どもに罪はないし、現場が混乱するということもわかるんですよ。
簡単にはいかないでしょうが、
質問しても、審議官が困るだけだとわかっていますが。
法治国家であるわけで、学校が不法滞在の拠点というかそういうところになっ
ても
困るということでよくよく今後検討していただきたい。
これまでの対応だけではたしていいのかというところを検討していただきたい。
きょうはこういう問題があるということで、問題定義をしている。

(参考人に退出を促す)

登録には、わざわざするんだからメリットがあるのだろうと、おもう。
なぜ不法滞在者が危険を冒して登録しようとするのか。

石川
外国人登録カードは、基本的な身分事項の表記と写真がある。
預金口座、携帯電話の加入だとかを容易にするという側面もあるのではないか

推測している。


一般の人にはなかなか分からないという側面もあるから、
不法の口座開設や不法就労に使われるという側面があると思う。
現行の大変な問題点なのだ。

これからは、そこがはっきりするわけで、不法の方にはもうカードはないわけ
ですから、
はっきりすることになるのかな。
法律が通ったあと、広報や周知が大切にはなるが、通過したあとのことですが、
しっかりやっていただきたい。

石川
正規の滞在者のみであるし、就労できる方であるかどうかも明記される。

赤池
外国人登録証の問題点を指摘した。
あらためて、法務大臣が継続的に情報を補足する制度ということですが、
対象となる外国人の範囲は?

中長期的に我が国に
3か月以下の在留資格、短期滞在、外交・公用、その他省令に定める方を除外し
た範囲。

4番目の「準ずるもの」は?

今後詰めていくことによるが、
外交館に準じる、台湾の協会、駐日パレスチナ代表部を考えている。

政治的な判断で活用されるものだということですね。

在留カードとは何か、改めて聞かせていただきたい。

石川
在留カードとは、(法案読み上げ)。
常に最新の情報が反映されることになる。行政サービスを受ける場合にも、
簡単に適法に在留するものなどが証明できる。

赤池
中長期的に滞在する方については、線の形で情報を把握することができるよう
だ。
いつから導入されるのか。

石川
開始するためには、入管だけでなく、市区町村との情報のやり取りをできるシ
ステムが必要。
公布から3年以内。

赤池
対象となるのは何人ぐらいか。

石川
あくまで概数だが、登録者のうち除外されるものもある。
172万4千人になる。
おおむねこれくらい。徐々に増えるが、今後どうなるかよくわからないが。

赤池
不法滞在者において、住民基本台帳制度の対象になるのか。

石川
総務省の所管だが、不法滞在者は対象外と承知している。

赤池
現行の登録証と新しい在留カードは何が違うのか。

石川
在留カードの所持事態が、在留資格の有無を示すことになる。
記載面には、就労資格の有無、資格外活動の許可を受けている場合にはその旨
を記載して
事業主にもどのような就労が可能になるのか、容易に分かるようにする。
ICチップを付着させることによって、偽造にも備えたい。

赤池
在留カードの導入によって、不法滞在者には交付されない。
これで違いがでてくる。
不法滞在者対策について資する点は?

石川
情報の正確性を担保するために、届け出られた事項について法務大臣が
事実の調査をできるようになっている。
学校、事業所など所属機関にも、在留資格に関係する場合は状況の
届け出が義務化される。
本人と所属機関の双方からの情報を照合でき、正確性が増す。
在留資格取り消しが新設される。


赤池
調査権の内容と趣旨を聞きたい。

石川
法務大臣が中長期の外国人に…

赤池
ほぼ制限なく聞くことができるということでいいのか。

石川
あくまで入管法や処分に関する範囲内、入管行政に関係する範囲内で
とういう趣旨だ。

赤池
調査を拒否した場合、何らかの罰則はあるのか。

罰則はなく、任意でご協力いただきます。

赤池
罰則がないのなら、協力しないということにならないか。

石川
当該外国人に関しては、在留資格の更新等で疑義が生じた場合には、
それを解消しないと認められない・不利に働くということになります。
関係機関についても、その外国人が適法に在留するためには、協力する
ことが必要になることになる。いっぱんに協力が有利に働くことになり
ますので、協力が見込めるということになる。

赤池
在留期間の途中で変更が生じた場合にも届け出るということだが、
変更の届け出の考え方は?

石川
住所の他にも、それが在留資格の基礎となる場合は、学校や勤務先と
いった所属機関の移籍等、配偶者としての関係を基礎としているなら、
離婚や死別といった事項も届出を求める。

赤池
結婚したからいられるのに、偽装結婚や偽装認知があってはならないし。
反面DVとかもあり、どうしょうもなく離れていなければならないという
ときにはどう対応するのか。

石川
たとえばDVなど、なかには本人の帰責理由によらないでなかなか
婚姻関係を継続しがたいということがある。この場合には、他の在留資格に
変更できる場合が多いだろうから、そちらへの変更申請をさせて、引き続き
在留を継続するという場合が多かろうと思っております。

赤池
雇用先、学校、研修先など、所属機関について情報を提供させるその趣旨は?


石川
本人から得た情報と照合することで正確な把握ができるという意味で
重要だと考えている。

赤池
在週資格の取り消しの趣旨は?

石川
たとえば不正の手段によって在留特別許可を受けた、というのがある。
事例てきにも発生している。

赤池
配偶者の問題ですが、DVは別途対応するということですが、配偶者の取り消し
の趣旨を。

石川
配偶者の身分を失ったばあいや、その活動をしないのは法の趣旨
偽装結婚して就労を防ぐ。
他の在留資格への変更ができるケースならば、変更申請をさせて在留を継続し
ていただく。

赤池
ブローカーを入れての偽装婚、偽装認知をきちんと防いでいただきたい。
90日の住所変更を届け出ないことを取り消し事由としたのは?

石川
居住情報の虚偽、不届けが問題となっている。正確な住居地届を促すという趣
旨。

赤池
登録証の偽造・変造があったが、在留カードでは対策は。

石川
在留カードの券面に偽造対策を施すのはもちろん。ICカードで。

赤池
罰則は?

石川
新たな在留管理制度の根幹を脅かす行為。組織的、国際的な偽変造、提供、
行使、所持、機械・材料の準備も処罰の対象にした。

赤池
それを強制退去事由とした趣旨は?

石川
厳罰を…。

赤石
研修・技能実習制度の改正の趣旨は?

石川
研修生、実習生の保護を目的とするもの。
就学・留学生は、利便性の向上を図るものだ。
資格変更が不要になる。

赤石
カルデロンをはじめ昨年も8千人も在留特別許可を出している。
国民から見たら、割合は少なく、それほど悪質でないとも聞いているが、
それではしり抜けになってしまうのではないか。法治国家としてそれでいいの
か。

森法務大臣。
異議申し立てをしたらすぐに許可しているわけではない。
慎重かつ適切に行っている。
個別的に、総合的な判断からしている。

赤石
基準はない。ガイドラインはある。
配偶者や子供となると認めざるをえない。
ぜひその辺は、今まで以上に、疑念・懸念が生じないように慎重にやっていた
だきたい。
在日特権といわれないように。
今回の改正は高く評価している。

-------------------(メモ終了)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 14, 2006

在留管理制度の改正論議を診る-02

これまでの改正の動きとこれから

 まずは、表2を参考にしながら、これまでの動きをおさらいしておこう。
 表立った議論が始まるのは自民党政務調査会が2005年6月に公表したペーパーで、テロ対策や犯罪対策を連ねたものだが、いわゆる水際対策だけでなく、ここで始めて在留管理の強化を謳い、具体的な項目を挙げている。(表2)この段階ですでに、雇用状況報告の義務化などを含んでいた。
 この後、議論は小泉改革全体をコントロールする政権の本丸、「規制改革・民間開放推進協議会」に引き継がれた。05年12月の第二次答申の中には、「必要な行政サービスが適時的確に提供されるよう」という、かねてより「外国人集住都市会議」やそのブレーンが強調してきた観点と合わせ、先の政務調査会ペーパーの骨子の大部分が盛り込まれている。
 政務調査会のペーパーは、ちょうど米国のUS-Visitの日本版を入国審査に導入する議論と平行して行なわれたため、当時は「IC在留カード」の導入など情報システム面ばかりが強調されて報道されていたが、現在から見ると、すでに既定の路線になっていた水際対策よりも、新たな項目を並べ在留管理制度の側面を強調したことの方が重要だったのかもしれない。もっとも、システム面の検討は犯罪対策閣僚会議がワーキンググループを作って検討を続けており、どちらかといえばこちらの方に主導権が移る。秋までに、この閣僚会議のWG、推進協議会の外国人WGの双方で、お互いを睨みながら検討が進められ、現在は最終的な答申案が調整されているところだと見られる。
 今後の日程としては、早ければ、規制改革・民間開放推進協議会が年内にも予定している第三次答申(06年12月)でより具体的な改正ポイントが列挙されることになりそうだ。この答申に沿って法案化され、07年の時期通常国会に関連法案が提出される可能性がかなり大きい。
 06年06月に、法務省、厚労省、総務省が相次いでそれぞれの観点からペーパーを公表しているのも、年末までに策定される答申をにらんで、それぞれの立場を表明したから。経団連や日弁連、外国人集住都市会議も、この時期に再度意見表明をしている。
 次期首相となりそうな安倍官房長官は、これまでのところとくにこの流れをさえぎるような発言はしていない。同推進協議会の位置付けが、次期政権で変更されるようなことがない限り、改正を巡る議論は、今まさに正念場を迎えている。
(つづく)

表2 在留管理改正への主要な動き
2004年4月 経団連「外国人受け入れに関する提言」
          外国人雇用法と就労管理制度を提言
2005年6月 自民党政務調査会「新たな入国管理施策への提言-不法滞在者の半減をめざして」
        IC在留カードの発行と、外国人、企業、学校に新たな変更・報告義務
2005年7月 犯罪対策閣僚会議に「外国人の在留管理に対するワーキングチーム」発足
2005年11月 外国人集住都市会議「規制改革要望書」
        自治体のサービス・事務に即した登録制度を要望
2005年12月 規制改革・民間開放推進会議「第2次答申」
        外登制度の見直し、関係省庁・自治体の在留情報共有、企業・学校に報告義務を盛り込む
2005年3月 閣議決定「規制改革・民間開放推進3か年計画」
        2006年度の「検討」項目とする。
2006年3月 総務省「多文化共生の推進に関する研究会報告-地域における多文化共生の推進に向けて-」
2006年6月 法務省:今後の外国人の受入れに関するPT
        「今後の外国人の受入れについて」
         →日弁連の意見書
        厚労省:外国人労働者問題に関するPT
        「外国人労働者の受入れを巡る考え方のとりまとめ」
        外国人労働者問題関係省庁連絡会議
        「『生活者としての外国人』問題への対応について
        外国人の在留管理に関するワーキングチーム
        「検討状況報告」
        経団連 「2006年度日本経団連規制改革要望-競争力と活力ある経済・社会の構築に向けて」
2006年7月 規制改革・民間開放推進協議会「外国人WG」
2006年7月 規制改革・民間開放推進協議会「中間答申」

| | Comments (1) | TrackBack (1)

September 13, 2006

在留管理制度の改正論議を診る-01

改正議論のポイント

 政府の諮問会議や自民党、そして法務省と連携をとりつつも微妙にニュアンスを変えながら、在留管理制度の「改革」論議が、スピードアップで進められていることにお気づきだろうか。現在までに自民党や政府各省周辺で検討されている項目を大まかにまとめるておくと、表1のようになる。

    表1:在留管理制度として提案されているポイント

1.     在留状況の補足を強化する

    ア)     雇用状況の把握のため企業に報告義務付け

    イ)     公的健保・年金制度への加入状況を把握

    ウ)     転出届や世帯状況の把握

    エ)     日本語能力・生活能力(子弟の就学状況等)を

        在留資格審査時にチェックする。

    *ア~エの対象は特別永住者を除く外国人。

         (一般永住者、配偶者、定住者を含む)

2.     補足された在留状況情報を一元管理

    オ)新たなインテリジェントシステムで、外国人登録システムと

        入国・在留資格審査システムを一元化。

       カ)IC在留カードの発行(自治体・雇用する企業で活用?)

3.     入国管理局以外の行政機関との情報共有を図る

   キ)関係省庁・自治体が共用する在留データベースの構築

| | Comments (0) | TrackBack (1)

August 08, 2006

【連載/夏休み企画1】改定入管法の問題点/すべての外国人から指紋を!? (4)

指紋情報の保管期間
 「Jヴィジット」の導入目的が、もし仮に、空港や港の入国審査時に行なわれるブラックリストとの照合チェックだけに限定できるのであれば、審査が終わり入国した時点で、生体情報を廃棄してしまうことができる。過去に入管法違反などで退去強制された外国人の再入国を防ぐという意味でも、入国時のチェックが終われば、以後はもうスキャンした指紋情報は不要なはずだ。入国審査ブースの端末で即座に破棄してしまい、ホストシステム側には一切保存されなければ、情報の漏洩や不正利用、あるいは、もっとも危惧される国内外の機関への横流しといった乱用の恐れはグッと少なくなる。先ほど挙げた二つ目のポイント、「どんなに技術を駆使しても、漏洩と不正利用は起きるもので、起きたらどうするのかという対処方と、危ない情報は蓄積せず、必要な機能に限定すべきだという原則」をここで思い出していただきたい。
 実際、国内銀行の自動支払機システム(ATMシステム)では、いずれの銀行でも、銀行側のネットワークでは、まったく生体情報を保存も管理もしない方式が採用されているとのことだ。静脈形状のデータは、ホストコンピュータ内のデータベースには保存されておらず、利用者自身が持っているカードの中、つまり利用者の管理の及ぶ範囲にしか保存されていない。つまり、銀行のATMシステムでは徹底して避けられているのに、「Jヴィジット」は生体情報の保存管理に敢えて挑もうとしている。これは極めて稀有な挑戦だ。
 国会の法案審議でも保管期間は、比較的よく議論されていたポイントだ。議論を経て固まった政府の公式見解は、「利用目的と運用コストとのバランスを踏まえ、運用状況を見ながら内部の運用規則を設けるが、テロリスト等を利するため、保管期間の公表は行なわない」というものである。警察や公安の捜査情報管理やプロファイリングに詳しい方々は、これを評して「要するに半永久的に保存するということ」だという。
 近年、日本をはじめて訪れる新規入国者の数は、年間七〇〇万人あまりに及ぶ。このうち、一六歳以下の外国人を除くとしても六〇〇万人は下らない。外国人観光客の誘致拡大も政策目標とされるおり、一〇年もすれば、ほぼ日本の人口に匹敵する巨大な個人情報のデータベースが出来上がっていることだろう。個票の数では住基ネットワークをたちまちしのぎ、チョイととっておきましょうという規模ではないことは、容易にお分かりいただけよう。捜査機関からすれば、網羅する範囲が広いほど、魅力あるデータベースになるのは言うまでもない。

保存される指紋の利用目的
 次に、保存された生体情報は、いったい何に利用されるのか。政府や法務省が明言している利用方法を見てみよう。まず第一に、過去の入国データと比較検証して、不自然な点はないかどうかをチェックすることだ。これには二つのやり方があって、まずは、単純に氏名や生年月日で名寄せして、同じ名義の入国記録を集めるやり方である。これにより、パスポートの借用など複数の人物が、同一名義で入国や出国審査を受けていないかを調べることができる。もうひとつは、指紋情報や顔写真情報で検索をかけて、同一人物が偽造パスポートなど複数のIDで入国していないかどうかをチェックするということだ。
保存された指紋の第二の利用法が、犯罪者や容疑者の生体情報の提供や、遺留指紋との照合である。前述のように、国内人口を上回るデータベースとなれば、捜査当局にとってはぜひ利用したいものになるだろう。氏名や指紋などの属性で、「ある程度」特定すれば、警察や公安から刑事手続きに則って依頼されれば、刑事訴訟法に規定される捜査機関が持つ照会権限によって、入国管理局は保管されている情報を提供できる。捜査機関に提供された指紋情報は、さらに国際手配など外交ルートや警察間の情報ルートにより、国外に提供される可能性がある。また、入管法には、海外の出入国管理当局との協定に基づいて情報提供ができるという規程もある。今後二国間協定などが成立すれば、入国管理局からもダイレクトに、他国の政府に提供される道が開かれる。
政府は、入国管理局のデータベース全体が内外の機関に対して提供されることはないという釈明をしている。しかし、戸籍や住民基本台帳の閲覧では、捜査当局による照会手続きのルールや制約が長年積み上げられてきているが、出入国データにはそれがない。一度に何人分の情報が提供できるのか、その上限すら見当がつかないのであり、やり放題の懸念が付きまとう。最低限のこととして、警察や公安への情報提供のルール、とくに開示手続きのありかたや、提供される個票の数や項目範囲については早急な策定が求められる。

外登データ含め、入管内の情報が一つに
 今回の改定と並行して、法務省や入国管理局が管理する外国人のデータは、しだいに結び付ける作業が進んでいる。出入国記録、ビザや在留資格の審査記録、違反調査の記録、そして外国人登録といった各種のデータを入国管理局は持っている。これまで一度に閲覧することが難しかったこうした各種の記録だが、もはや仕組みさえ整えれば、いとも簡単に結び付けることができるだろう。たとえば、入管法に依拠した入国審査や在留資格審査の個人情報ファイルと、外国人登録法に依拠した在留状況ファイルは、たとえ電磁的にはべつのコンピュータに保管されていても、プログラム次第で端末機画面にあたかも一体のものとして表示することは難しくない。そうなれば、外国人登録で指紋押捺を廃止した意味は、もはや無に等しい。

(続く)

(この原稿は、ひょうご部落解放(季刊) 6月号に掲載されたものです。発行/(社)ひょうご部落解放・人権研究所

| | Comments (0) | TrackBack (1)

July 28, 2006

【連載/夏休み企画1】改定入管法の問題点/すべての外国人から指紋を!? (3)

一対一〇〇万の指紋照合
 議論を難しくするひとつの原因になっているとはいえ、やはり、IT技術に関する考察も最低限はしておかなければならない。まず二つのポイントだけは指摘しておきたい。ITといえども所詮は技術であり道具に過ぎない。技術論が苦手という方も、ぜひ次の二つだけは、頭に入れておいて頂きたい。
 まずひとつは、本人確認や指紋の照合は、人的な作業と同じく一〇〇%を保障するものではないということである。二つ目は、どんなに技術を駆使しても、漏洩と不正利用は起きるもので、起きたらどうするのかという対処方と、危ない情報は蓄積せず、必要な機能に限定すべきだという原則である。
 まず、指紋データの照合の精度や確度という観点を考えてみたい。指紋データだけで要注意人物がパッと見つかるのか。じつは、かなり心もとない。犯罪捜査に詳しい方々は一様に「指紋の照合だけで容疑者が一人に絞れることは稀」だと指摘する。どうやら、刑事ドラマのワンシーンのように上手くいくものではないらしい。もっとも犯罪捜査なら、「指紋が非常に似ている人物」が数人に及ぼうとも、さらに捜査して、絞り込めばよいのだからこれで十分なのだ。むしろ、容疑者となる人物がリスト中にいるのにヒットしない、「チェック漏れ」がおこらないように、緩やかな類似でも同一だとヒットするように設定しておくべきなのだろう。
 ところが、一日に数十万人が通過する空港の入国審査で使うとなると、そう簡単ではない。不確実な照合なら多数の入国者を引き止めてしまうことになるからだ。ましてや、引き止めたからといって、その外国人と言葉も通じる保障はない。大方は、引き止められた方にはもちろん、引き止める側にも不幸で無意味な時間が待っている。成田空港で一日に引き止められるのは、五人だろうか。それとも二〇人だろうか。まさか毎日一〇〇人も空港で引き止めて「捜査」することはできまい。
 技術的にいえば、生体認証がもっとも得意とするのは、「1対1の照合」――もともと同一であることが期待される二つのデータの異同を判別するだけだ。パソコンの起動ロックはもちろん、銀行のATMやオフィスビルの入退管理システムにも利用されている。たとえ数万、ときには数十万人が対象になるとはいっても、最近流行している指紋認証は、すべてこの意味での照合である。
 他方、ある指紋データを、ブラックリストのような、多数の指紋データの全てと比較し、類似する指紋を見つける作業は「1対Nの照合」と呼ばれ、前述の「1対1の照合」とは次元が異なる。照合結果の精度を保つことはかなり難しく、ブラックリストの規模が大きくなれば、その分誤認の可能性は高まる。「Jヴィジット」で用意されるブラックリストは、前述のようにとりあえずは八〇万件、将来的には一〇〇万件や二〇〇万件になるのかもしれない。一〇〇万の指紋の中から、同一の指紋を見つけるのは、現代のIT技術をもってしてもかなり次元が異なる。自動的に、厳密な意味での同一性を確認することができるのかは怪しいところである。
 前述のように、犯罪現場の遺留指紋なら、「似ている」指紋をいくつか選び出せれば十分に「役立つ」のだが、入国審査の場合、その場で同一人物であることを断定し、入国拒否という不利益処分をしなければならない。もし、あなたが何ヶ月も前から計画した観光旅行に出かけ、このようなシステムで入国を拒否されたなら、心当たりもないのに、ひと騒ぎもせずに「しょうがない」と諦められるだろうか。

ヒット率と見逃し率は常にバーター
「1対Nの照合」では、誤認率が0%でない以上、指紋情報を「同一とみなす基準幅」を多少狭めておく、運用上の「調節」が必要になる。しかし、ヒット率を下げるよう調節するということは、見逃す可能性を高めるということである。スムーズな入国審査を取るのか、危険人物の入国を未然に防ぐか、ジレンマを抱え込まざるを得ない。「水際で素早く排除」なるスローガンは、もともとかなり危うい。
 IT関係者の中には、最新技術ではかなりの精度が得られることを強調する者も少なくない。とはいえ、そうした見識をよく聞いて見ると、いずれも指紋情報をスキャン(採取)するところから技術レベルをそろえるという前提で論じている点に注意したい。過去にインクや墨で採取した指紋や、どうやって採取したのかもわからない、海外から提供される指紋情報を活用するという、応用シーンを無視した議論であるように思われるのである。広く連携し、過去の「情報資産」を活かそうという以上、そう簡単に最新技術で水準をそろえるわけにはいかないことも、今日の情報システムの常識なのである。

効用はリピーター対策に限定か
 実際本家USヴィジットでも、これを活用して、テロリストが検挙されたという事例報告を見つけることはできない。カナダに定住したシリア人が、テロリスト扱いをされて本国に送還されてしまった誤認事件など、誤認ばかりが聞こえてくる状況に陥っている。こうした被害者による国を相手取った訴訟の今後の行方も注目されるところだ。
 結局、ブラックリストとの照合による水際効果は、ブラックリストの大半を占める過去の入管法違反者の再入国を防ぐ「リピーター対策」となるのではないだろうか。指紋の採取も入国管理局が行ない、データの質も比較的コントロールしやすく、もっとも「実用」に向きそうなのだ。

(この原稿は、ひょうご部落解放(季刊) 6月号に掲載されたものです。発行/(社)ひょうご部落解放・人権研究所

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 23, 2006

【連載/夏休み企画1】改定入管法の問題点/すべての外国人から指紋を!? (2)

米国では対象外の定住外国人も義務化
 確かに今回の義務化では、いわゆる在日である「特別永住者」は除外されている。とはいえ、一般の永住者をも含む広汎な外国人が対象になっていることに変わりはない。在日以外の永住者の数は、この一〇年間に五倍と急増しており三五万人となった。三~四年後に在日の数を上回るのは確実な情勢である。かつて、定住外国人の大半が在日コリアンで占められた八〇年代以前の状況から、すでに構成は様変わりをしているのである。
 米国のUSヴィジットでは、永住者はもちろん、職業人や留学生といった長期滞在者をはずし、あくまで一時的な入国者のみを対象にしている。これに比べて「Jヴィジット」は、射程を広げた強化版となっている。
 全廃からわずか六年しかたっていないのに、再び、ほぼ全ての外国人から指紋を取る。二世からも三世からも永続的に取り続けようというのである。共生という理念への配慮は微塵も感じられない。

ブラックリストの中味
 なぜ「指紋」が選ばれたのか、現在用意できるブラックリストのデータを考えると、すぐに合点がいく。ブラックリストには、各国警察間における情報の共有化を進めているインターポール(ICPO、国際刑事警察機構)から得る国際手配者の指紋リストを入れる。警察庁によれば、その数は現在約一万数千件。さらに、入国管理局も、過去の退去強制処分者の指紋リストを持っており、これが八〇万件ほど。あとはアフガニスタンのタリバン関係者など、国連でテロ組織の関係者と指定された人物で、これは極僅かだ。要するに現状では八〇~八五万件程度の指紋データベースが用意されることになると見られる。
「Jヴィジット」で指紋が重視されるのは、これらブラックリストとして集められる照合可能な生体情報は指紋情報しかないからである。今後を考えても、国際機関や他国の警察・公安機関が交換する情報で、静脈形状など、他の採取しやすい生体情報が流通する見込みはない。顔写真や指紋に頼らざるを得ないというわけだ。
実際にブラックリストとなるのは、テロリスト情報ではなく、一般犯罪に関する情報や、入管法違反者の情報ということになる。もっとも、テロリストやその関係者なる人物のデータ、とくに指紋情報が、そう簡単に入手できるとも思えず、量的にテロリストが大きな比重を占めることは、将来もないだろう。
 いったいこのシステムの何処が『テロ対策』なのか?いっそ、法改定の本来の目的を、テロ対策から、一般犯罪や入管法違反の抑止に切り換えた方が内実にふさわしいと思われる。もっとも、それでは法の改定も予算獲得も難しくなってしまうだろう。

(この原稿は、ひょうご部落解放(季刊) 6月号に掲載されたものです。発行/(社)ひょうご部落解放・人権研究所


| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧