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July 23, 2006

【連載/夏休み企画1】改定入管法の問題点/すべての外国人から指紋を!? (2)

米国では対象外の定住外国人も義務化
 確かに今回の義務化では、いわゆる在日である「特別永住者」は除外されている。とはいえ、一般の永住者をも含む広汎な外国人が対象になっていることに変わりはない。在日以外の永住者の数は、この一〇年間に五倍と急増しており三五万人となった。三~四年後に在日の数を上回るのは確実な情勢である。かつて、定住外国人の大半が在日コリアンで占められた八〇年代以前の状況から、すでに構成は様変わりをしているのである。
 米国のUSヴィジットでは、永住者はもちろん、職業人や留学生といった長期滞在者をはずし、あくまで一時的な入国者のみを対象にしている。これに比べて「Jヴィジット」は、射程を広げた強化版となっている。
 全廃からわずか六年しかたっていないのに、再び、ほぼ全ての外国人から指紋を取る。二世からも三世からも永続的に取り続けようというのである。共生という理念への配慮は微塵も感じられない。

ブラックリストの中味
 なぜ「指紋」が選ばれたのか、現在用意できるブラックリストのデータを考えると、すぐに合点がいく。ブラックリストには、各国警察間における情報の共有化を進めているインターポール(ICPO、国際刑事警察機構)から得る国際手配者の指紋リストを入れる。警察庁によれば、その数は現在約一万数千件。さらに、入国管理局も、過去の退去強制処分者の指紋リストを持っており、これが八〇万件ほど。あとはアフガニスタンのタリバン関係者など、国連でテロ組織の関係者と指定された人物で、これは極僅かだ。要するに現状では八〇~八五万件程度の指紋データベースが用意されることになると見られる。
「Jヴィジット」で指紋が重視されるのは、これらブラックリストとして集められる照合可能な生体情報は指紋情報しかないからである。今後を考えても、国際機関や他国の警察・公安機関が交換する情報で、静脈形状など、他の採取しやすい生体情報が流通する見込みはない。顔写真や指紋に頼らざるを得ないというわけだ。
実際にブラックリストとなるのは、テロリスト情報ではなく、一般犯罪に関する情報や、入管法違反者の情報ということになる。もっとも、テロリストやその関係者なる人物のデータ、とくに指紋情報が、そう簡単に入手できるとも思えず、量的にテロリストが大きな比重を占めることは、将来もないだろう。
 いったいこのシステムの何処が『テロ対策』なのか?いっそ、法改定の本来の目的を、テロ対策から、一般犯罪や入管法違反の抑止に切り換えた方が内実にふさわしいと思われる。もっとも、それでは法の改定も予算獲得も難しくなってしまうだろう。

(この原稿は、ひょうご部落解放(季刊) 6月号に掲載されたものです。発行/(社)ひょうご部落解放・人権研究所


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