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August 08, 2005

入管関連法改正とトップダウンの小泉スタイル

静かだった週末の衆院議員会館

 先週週末に永田町の議員会館を訪ねる機会があった。地下鉄の出口を出るとミンミンゼミの声が響き渡り、車の通りもいつになくまばら。衆院第一議員会館は、いつになくひっそりとしていた。解散風が強まる会期末の金曜日。議員の多くはすでに地元選挙区へ帰ってしまっているにちがいない。
 場所が場所だけに、何気ない会話も自然と解散の話に向かいがち。こんなところに集まるのは、理屈っぽい面々に違いないが、なぜ解散なのか、納得できる説明を展開できる人はいなかった。しかし、この国の首相が近々に交代する可能性がずいぶんと高まったということだけは、まちがいない。
 ちょうどよい機会なので、この政権下で感じた施策決定プロセスの変化について書いておこうと思う。

入管問題でもトップダウンの小泉流

 小泉内閣の特徴といえば、政策決定を党や官庁ではなく、官邸主導の政策決定を押し進めてきたことが挙げられるだろう。入国管理についてもこれは例外ではない。むしろこの傾向が顕著な分野だったかもしれない。ちょっとこのブログとしては今回は気取った感じがするが、小泉政権下で入国管理に関する政策的な意思決定が、法務省や入国管理局がイニシアティブを取ってきたかつてのパターンとは、かなり変わったことを指摘しておきたいと思う。

官邸主導と省庁間協力のパターンが浸透

 確かに彼の首相就任以後、首相官邸サイドで方針を決め、それを受けて法務省や入国管理局が子細を決めていくというパターンが幾度も見られた。「外国人犯罪の抑制」「テロ対策」「国際犯罪対策」のいずれをとっても、典型的な官邸マターといっていいだろう。
 他方で、「観光立国」「e-Japan」「FTA」というテーマは純粋な官邸マターとはいえないかもしれない。経産省や国交省や総務省といった各省にまたがるテーマで、関係業界が活発に関与しそれぞれの省が競うように旗を振っているからだ。ただし、入国管理局から見れば、こうしたテーマも官邸サイドから降りてくるように見えるのではないだろうか。しかも、日系人や研修生の受入のときとは違って、それぞれの施策の骨格を決めるプロセスに入国管理局の関与は極端に薄くなっているような気がする。

プライオリティが上昇?

 このように肝心の部分で入国管理局が関与できる度合いが減少した理由を、小泉政権の官邸中心主義だけに求めると、それはそれで、ちょっと違うのかもしれない。欧州ほどではないにせよ、9.11テロという大事件や、少子化や脱産業化という社会的な事情が、入国管理というテーマを多少なりともより重要視しなければいけないテーマへと「昇格」させてしまった側面があるからだ。
 このようなトップダウン方式の制度改正プロセスにはは、スピードは速いが、その分骨格となる方針への議論や、具体的な法案の吟味を拒むところがある。

公明党のチェックが恒例化

 ここ数年の制度改正のプロセスで、もうひとつ顕著になったのは、連立与党の公明党が法案の最終チェックをすることが恒例化していることである。法務委員会の質問に立つ公明党議員は、条文に明記されるほどではないが、重要な多数のポイントを早口で質問。即答に近い答弁が簡潔に返される。持ち時間を最大限に使って、事前に交渉しているにちがいない内容を確認している。
 郵政のような重要法案ではどうだか知らないが、プライオリティーが上がりつつあるといっても、関係団体も報道も少ない出入国管理法。マイナー法案であるからか、同党がカギとなっているようにさえ見える。官邸サイドを除けばもしかしたら自民党以上と思われるほどだ。

省は「降ってくる」課題の料理に専念

 さて、官邸サイドのトップダウン方式が定着するようになって、法務省や入国管理局にとっても、こうした決定様式は、困りものであったにちがいない。とはいえ、これまでのところは、とくだんの反発を必要とするほどのことでもなかったらしい。なにせ、入国管理については現場を直接担っている唯一の機関である。「ココまではできます」「あとはできません」といいつつ、政権に協力するポーズだけは取り繕ってこれたからだ。
 官邸や内閣府から降りてきた政策課題に対応しながら、いかにじっさいの業務に適当なカタチに落とし込むか。この姿勢自体は省や局という立場としては、正論に近いごくあたりまえのことである。しかし、その際に、本来の課題は骨抜きにしながら、自分達に都合の良いものを潜りこませているシーンも目立つようになった。

建前と法案の乖離が顕著に

 このブログでも「そんなんオーバーステイの減少になるわけない」と取り上げた出国命令制度はそうであったし、再入国禁止期間の延長もそうだった。次は、すでにいくつものテーマが浮上している出入国管理情報システムの再整備であるが、みなさん、とくに報道関係者には、そういう観点からウラ(=実状)を読み込むための情報収集をお願いしたい。そして運動団体サイドとしては、もはや入国管理局や法務省に働きかけることの意味が、不要になったわけではないが、薄くなったということもいえるような気がする。

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