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November 20, 2004

難民申請者のヒアリングと代理人の同席

今国会は、出入国管理法に絡むような法案が提出されないので、この分野の話題について議員の関心は薄い。まあ、立法府というぐらいで法律を作るのが本分ということだから、善悪はともかく、いたしかたないのかもしれない。という中、先日11月8日に国会議員会館内で行われた人権派団体(ということでいいのかな)の移住連と法務省の意見交換の席に出てみたので、その報告をひとつ。

 なんともいろんな話題を短時間にワーッとやらざるを得ないので、その中でひとつ取り上げるとなると、なにを選んでいいのか迷うのだが、このブログサイトの流れでいうと難民認定に関することが良いのかもしれない。

 すれ違いや言いっぱなしが多いこのやり取りの中でも、ひときわ、それもきわだって陳腐だったのは、難民審査のしょっぱなのヒアリングに、弁護士や代理人を同席させてはどうかという団体側の提案に対する答えだった。


代理人がいない方が、事情説明がしやすい!?

「申請者のみでしか知り得ない内容や、他人のプライバシーに関わる問題もあるので、信用性を吟味し、これらをありのまま事情聴取するために、難民調査官が申請者を直接行う。難民認定にとって有利か不利か代理人の顔色を伺う打算的なことが起きないように、或は代理人にすら打明けていないプライバシーが外部に漏れることがないように、申請者に真実の告白をためらわせないために、代理人の立会いを認める事は出来ない。」(註)

 要するに、代理人がいると本人に打算や遠慮が働き、真実の難民性を見極めることができないと、言ってのけたのだ。逆に言えば、代理人が不在で、入国管理局の審査官と通訳だけなら、そういった打算や遠慮は働かないとでもいいたいのだろうか。そんなわけはあるまい。
 そういったケースが全くないとまでは言わないが、ほとんど全部に近い大半のケースではまったく逆になるだろう。それが普通の判断だ。
 団体側の席に座った面々が一様に考えていたのは
「代理人がいると安心して審査に望めないのは、『技量のない』審査官や通訳であって、決して申請者じゃないよねぇ」ということ。もちろん技量の十分な審査官や通訳だったら、別に不安などないハズである。
 そもそも、こっちは
「あんなテクや知識のない審査官にあきれて、話しようがなかった」
という申請者の声をいつも聞かされているのである。

 というわけで、上記の答えは、じったいとかけ離れている上に、ロジックというか論理としてもわけがわからない。これはお役人様の答えとしてはだらしがなさすぎ。

審査官や通訳の質に完璧は無理

 もちろんあっしは、技量のない審査官や通訳がいるのは残念だがある意味で避けられないことだと思っている。通訳を挟んだヒアリングから事実を掴むことの難しさは、あっしの日々の活動で痛感していること。
「ちょっとやそっとのトレーニングで、そうそう身についてたまるか」
とか
「そんなに都合のいい通訳を毎回常に調達するなんて無理」
とか、そういう思いは、ひと一倍強い。
 審査にあたる各人にそれ相当の水準は求めたいが、かといって完璧である必要もないんじゃないかと思っている。

 まして入国管理局だって組織だし役所だ。仮にチームとして見ればまあまあの水準に達していたとしても、構成する個々人のキャラや能力はどうしてもバラツキがでるし、なかにはどうしてこの人がこのポストにいるのかって思うような人事移動があったりするだろう。難民認定をする審査官がそれほど他に比べて優先される恒常的な花道ポストになるかといったら、そうではあるまい。
 お勤めの方なら、自分の職場に当てはめて考えれば容易に察せられるだろうが、そういうことがないはずがない。
周囲が「あちゃー」と思っても、それでも日常業務は遂行されていくものだし、そうじゃなきゃならないのは言うまでっもない。

 案の定、この席は、この回答をめぐってアレてしまうのだが、帰ってから、もしあっしが役人だったらなんと答えるだろうと考えることになった。いつもの荒唐無稽な妄想なのではあるが…。

スピードアップや効率化で
重要になる補正策

 うーん。あっしだったら、「一次審査は簡単にスピード優先でやりたいから勘弁してね」という線で答えるなあ。きっとそうだなぁ。
 まあ、そのためには、一次審査の位置付けをもっと、足切りやスクリーニングに近い方向に寄せることが必要になるわけだし、改正されたばかりの法律の下でそういった運用が可能かどうかはちょっと吟味する必要があるけど、できそうな気がするけどどうだろう。
 認定数のレベルがあまりにも違いすぎるために、日本の法務省が言うと言い訳にしか聞こえないけど、難民を多数受け入れている国だって、申請者数は、認定された件数の何倍にもあたるというところまでは、法務省の言うとおりだ。もちろん、難民申請者のなかにはいろいろな申請者がいるわけだし、もし認定件数が増えてくれば、申請件数が増えるとともに、その中の構成が質的に変化する可能性が十分にある。
 難民受け入れを推進する立場にとってみても「真の難民性がないのに難民申請をする行為は難民制度を脅かすものだ」みたいな考え方は、公式見解のひとつとなっているところだ。

「誰が見たって難民」という認定者をスパッと認定しつつ、吟味が必要な案件は慎重審査でじっくりと予算もかけて審査して、その他はスパスパと不認定決定するというようなオペレーションが一次審査として必要だ…。という見解は、論としてだけど、入国管理局としては当然のことだろう。
 こうしたやり方で問題になるのは、スパスパッと不認定にしてしまった申請のうち、じつはやっぱり認定すべきだった申請が含まれてしまうこと。どれだって必ず生じうる間違いだから、うまく対処すればいいだけの話しだ。
 ただ、この場合の対処というのが、今回の参与員制度ということにしてもいいのだけど、それじゃあ件数が増えすぎて参与員制度を骨抜け制度にしてしまいかねないから、その前に代理人を挟んでやりあう機会を作ったっていいような気がするけど…、どうだろう。

 まあそのへん、審査は常に間違いのないかのような無謬性を背負わされている(あるいは、好きで背負っている)、とにかくそういう雰囲気の強い役所だから、かなりの頻度で間違えるということを前提にしたプランニングができるかということと、そもそも認定する気があるのかということと、その二つをまずクリアする必要があるのだけど。


もしヒアリング記録の録音があれば

 最後にこの話題と関連しているので付け加えておきたいのだが、参与員が検証する資料として「ヒアリング時の録音テープ」を準備するのがいいのではないかという議論があることをご紹介しておきたい。
 上記のように、審査官や通訳の質が問題なら、一次審査の過程でどんなヒアリングが行われ適切な通訳がなされているかを検証するのにこれ以上確実な手はない。これについては、ぜひ移住連の機関紙である「Migrans'-ネット」(2004年8-9月合併号)に所収の「難民調査にビデオテープ録画導入を!」という大阪の岩田氏の小論をお読みください。

註、引用元は移住連の内部資料である記録案

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