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November 29, 2004

出入国管理法「第五条第1項」ってなに?

■シリーズ上陸特別許可(その3)

Q 在留資格認定証明書の申請しましたが、結果は不交付。入国管理局から送られてきた文書には、「出入国及び難民認定法第五条第1項に定める上陸拒否事由に該当している」という理由が書かれていました。これはどういう意味ですか。


A. この通知にある入管法の第五条第1項を見ると、入国管理局が原則として入国させてはならないとする、外国人の条件が箇条書きになっています。このひとつひとつが「入国拒否事由」とか「上陸拒否事由」と呼ばれているもので、ひとつにでも該当する外国人の入国に関する審査は、たいへん厳しいものになってしまいます。

■主な入国拒否事由

・刑事事件で一年以上の懲役刑
・薬物関連法違反
・売買春業務の従事歴
・出国命令制度による退去(1年間)
・複数回の退去強制(10年間)
・1回の退去強制(5年間)


 当相談室に寄せられる相談で、じっさいに適用されるケースが多いものを上げると上記のようなものになります。下の3つは、いずれも過去に日本でオーバーステイをしたことによるもので、最後に退去した日から1年から10年までの期限があります。配偶者が呼び寄せる場合は、この期限を過ぎることが再入国できる時期のひとつの目安になります。
 上の3つについてはとくに期間の定めはありません。また、国内の事件だけでなく入国管理局が知るところとなれば、海外の事件も対象になります。
 上陸拒否事由に該当している外国人が日本に入国するときには、空港や港の入国手続きを受けて入国するのですが、通常の上陸許可と区別され、すべて上陸特別許可ということになります。とくに法令に定められているわけではありませんが、事実上、国内の空港や港にやって来る前の段階で、入国管理局の了解を取り付けておかなければならないと、考えてください。

 また、法文を自分で確かめた方のなかには、
「第五条第1項って、『感染症の所見があるもの、または患者に該当する者は本邦に上陸できない…』って書いてあるのだけれど、これはどういうこと?」
と、ご質問をいただくことがあります。これは、法文の読み違えによるもので、じっさいの法文の中では、慣例的に第○条の第1項は番号を書かないことから、生じる勘違い。誤って「第五条第1項の一」を参照してしまっているのです。
 第一号から第十四号までの上陸拒否事由が並んでいる部分の全てが「第五条第1項」です。入国管理局の通知ではなぜか、第何号が該当するのか、指摘してくれません。指摘してくれればこのような誤解をする人も減るし、不交付理由もグッと分かりやすくなるハズなのに、不親切ですね。

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November 20, 2004

難民申請者のヒアリングと代理人の同席

今国会は、出入国管理法に絡むような法案が提出されないので、この分野の話題について議員の関心は薄い。まあ、立法府というぐらいで法律を作るのが本分ということだから、善悪はともかく、いたしかたないのかもしれない。という中、先日11月8日に国会議員会館内で行われた人権派団体(ということでいいのかな)の移住連と法務省の意見交換の席に出てみたので、その報告をひとつ。

 なんともいろんな話題を短時間にワーッとやらざるを得ないので、その中でひとつ取り上げるとなると、なにを選んでいいのか迷うのだが、このブログサイトの流れでいうと難民認定に関することが良いのかもしれない。

 すれ違いや言いっぱなしが多いこのやり取りの中でも、ひときわ、それもきわだって陳腐だったのは、難民審査のしょっぱなのヒアリングに、弁護士や代理人を同席させてはどうかという団体側の提案に対する答えだった。


代理人がいない方が、事情説明がしやすい!?

「申請者のみでしか知り得ない内容や、他人のプライバシーに関わる問題もあるので、信用性を吟味し、これらをありのまま事情聴取するために、難民調査官が申請者を直接行う。難民認定にとって有利か不利か代理人の顔色を伺う打算的なことが起きないように、或は代理人にすら打明けていないプライバシーが外部に漏れることがないように、申請者に真実の告白をためらわせないために、代理人の立会いを認める事は出来ない。」(註)

 要するに、代理人がいると本人に打算や遠慮が働き、真実の難民性を見極めることができないと、言ってのけたのだ。逆に言えば、代理人が不在で、入国管理局の審査官と通訳だけなら、そういった打算や遠慮は働かないとでもいいたいのだろうか。そんなわけはあるまい。
 そういったケースが全くないとまでは言わないが、ほとんど全部に近い大半のケースではまったく逆になるだろう。それが普通の判断だ。
 団体側の席に座った面々が一様に考えていたのは
「代理人がいると安心して審査に望めないのは、『技量のない』審査官や通訳であって、決して申請者じゃないよねぇ」ということ。もちろん技量の十分な審査官や通訳だったら、別に不安などないハズである。
 そもそも、こっちは
「あんなテクや知識のない審査官にあきれて、話しようがなかった」
という申請者の声をいつも聞かされているのである。

 というわけで、上記の答えは、じったいとかけ離れている上に、ロジックというか論理としてもわけがわからない。これはお役人様の答えとしてはだらしがなさすぎ。

審査官や通訳の質に完璧は無理

 もちろんあっしは、技量のない審査官や通訳がいるのは残念だがある意味で避けられないことだと思っている。通訳を挟んだヒアリングから事実を掴むことの難しさは、あっしの日々の活動で痛感していること。
「ちょっとやそっとのトレーニングで、そうそう身についてたまるか」
とか
「そんなに都合のいい通訳を毎回常に調達するなんて無理」
とか、そういう思いは、ひと一倍強い。
 審査にあたる各人にそれ相当の水準は求めたいが、かといって完璧である必要もないんじゃないかと思っている。

 まして入国管理局だって組織だし役所だ。仮にチームとして見ればまあまあの水準に達していたとしても、構成する個々人のキャラや能力はどうしてもバラツキがでるし、なかにはどうしてこの人がこのポストにいるのかって思うような人事移動があったりするだろう。難民認定をする審査官がそれほど他に比べて優先される恒常的な花道ポストになるかといったら、そうではあるまい。
 お勤めの方なら、自分の職場に当てはめて考えれば容易に察せられるだろうが、そういうことがないはずがない。
周囲が「あちゃー」と思っても、それでも日常業務は遂行されていくものだし、そうじゃなきゃならないのは言うまでっもない。

 案の定、この席は、この回答をめぐってアレてしまうのだが、帰ってから、もしあっしが役人だったらなんと答えるだろうと考えることになった。いつもの荒唐無稽な妄想なのではあるが…。

スピードアップや効率化で
重要になる補正策

 うーん。あっしだったら、「一次審査は簡単にスピード優先でやりたいから勘弁してね」という線で答えるなあ。きっとそうだなぁ。
 まあ、そのためには、一次審査の位置付けをもっと、足切りやスクリーニングに近い方向に寄せることが必要になるわけだし、改正されたばかりの法律の下でそういった運用が可能かどうかはちょっと吟味する必要があるけど、できそうな気がするけどどうだろう。
 認定数のレベルがあまりにも違いすぎるために、日本の法務省が言うと言い訳にしか聞こえないけど、難民を多数受け入れている国だって、申請者数は、認定された件数の何倍にもあたるというところまでは、法務省の言うとおりだ。もちろん、難民申請者のなかにはいろいろな申請者がいるわけだし、もし認定件数が増えてくれば、申請件数が増えるとともに、その中の構成が質的に変化する可能性が十分にある。
 難民受け入れを推進する立場にとってみても「真の難民性がないのに難民申請をする行為は難民制度を脅かすものだ」みたいな考え方は、公式見解のひとつとなっているところだ。

「誰が見たって難民」という認定者をスパッと認定しつつ、吟味が必要な案件は慎重審査でじっくりと予算もかけて審査して、その他はスパスパと不認定決定するというようなオペレーションが一次審査として必要だ…。という見解は、論としてだけど、入国管理局としては当然のことだろう。
 こうしたやり方で問題になるのは、スパスパッと不認定にしてしまった申請のうち、じつはやっぱり認定すべきだった申請が含まれてしまうこと。どれだって必ず生じうる間違いだから、うまく対処すればいいだけの話しだ。
 ただ、この場合の対処というのが、今回の参与員制度ということにしてもいいのだけど、それじゃあ件数が増えすぎて参与員制度を骨抜け制度にしてしまいかねないから、その前に代理人を挟んでやりあう機会を作ったっていいような気がするけど…、どうだろう。

 まあそのへん、審査は常に間違いのないかのような無謬性を背負わされている(あるいは、好きで背負っている)、とにかくそういう雰囲気の強い役所だから、かなりの頻度で間違えるということを前提にしたプランニングができるかということと、そもそも認定する気があるのかということと、その二つをまずクリアする必要があるのだけど。


もしヒアリング記録の録音があれば

 最後にこの話題と関連しているので付け加えておきたいのだが、参与員が検証する資料として「ヒアリング時の録音テープ」を準備するのがいいのではないかという議論があることをご紹介しておきたい。
 上記のように、審査官や通訳の質が問題なら、一次審査の過程でどんなヒアリングが行われ適切な通訳がなされているかを検証するのにこれ以上確実な手はない。これについては、ぜひ移住連の機関紙である「Migrans'-ネット」(2004年8-9月合併号)に所収の「難民調査にビデオテープ録画導入を!」という大阪の岩田氏の小論をお読みください。

註、引用元は移住連の内部資料である記録案

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国内外国人/イベント紹介:12月上旬

◎第1回在日外国人の人権を考える岡山シンポジウム

 「外国人にも暮らしやすい共生のまちおかやまをめざして」をテーマとし、丹羽雅雄による基調講演と各グループの報告、パネルディスカッションの三部構成。パネラーには丹羽氏のほかに、田中宏、内海愛子氏ら。

【と き】2004年12月4日(10:00~17:00)
【ところ】岡山大学創立50周年記念館(岡山市津島中1-1-1)
【ひよう】無料
【主 催】韓国民団岡山県本部、okayama@mindan.org
【詳 細】案内ページ

◎国際シンポジウム
「HIV/AIDSとともに生きる在日外国人の支援と共生のあり方を考える

 日本のエイズ発症事例の約25%が外国人だが、その多くは在留資格がなく、治療へのアクセスからしめだされている。適切な医療を保障するための制度改革や、サポートに出身国とをつなぐネットワーク作りなどが求められていることから、ブラジルやタイなど海外からパネリストを招き、当事者のニーズやネットワークのあり方について討議。英国から招いたパネリストをリソースとして、日英の制度を比較する。

【と き】2004年12月4日(土)~5日(日)
(4日→11時受付、13時全体会)
(5日→10時分科会)
【ところ】慶応大学三田キャンパス
【ひよう】1000円 (定員100名)
【主 催】(特活)国際保健協力市民の会他
【問合せ】(特活)アフリカ日本協議会(担当:稲場) ajf@mtb.biglobe.ne.jp
【詳 細】HP


◎新宿・大久保からの多文化共生はいま
- 学校・地域・行政からの報告 -

 多文化共生教育研究会(MCE)の定例研究会。外国人とその子どもたちが急増している東京新宿・大久保の地域の取り込みを紹介しあう集い。小学校、地域、自治体において、それぞれの現場から模索と試みや、子どもたちの状況を知ることから考える。報告者には、善元幸夫(区立大久保小教諭)、山本重幸(共住懇代表)、柴香里(区教育委員会主事)の各氏。会員以外の参加可。終了後、交流会あり。


【と き】2004年12月18日(土)15時~18時
【ところ】立教大学12号館 地下第3・4会議室
【ひよう】500円(資料代)
【問合せ】tabunnka-e@jcom.home.ne.jp
【主 催】多文化共生教育研究会


◎講座「国を愛することって何?」

「在日外国人から見える日本社会」をテーマに2回に分けて開催されている市民公開講座の2回目。有道出人(北海道情報大学助)が「在日外国人から見える日本社会のシステム」、姜誠(ルポライター)が「祖国と異国」、キム・ヘギョン(アジアプレス)が「在日外国人にとっての愛国心」のそれぞれをテーマに話す。

【と き】2004年12月4日(土)18時~21時
【ところ】渋谷区勤労福祉会館2F会議室 
【ひよう】500円
【主 催】在日から見える社会実行委員会
【問合せ】chuo@seinenkai.org

◎外国にルーツを持つ子どもたちの居場所づくりとこれからの課題- 

 広島で行われる全外教セミナー。榎井縁氏(とよなか国際交流協会)が、「外国にルーツをもつ子どもたちの『居場所』」をテーマに講演するとともに、田中真佐子氏(福山市相談員)のほか、呉市内のブラジル人保護者や広島市内の中国人高校生といった地元の子どもや親からの報告を受ける。

【と き】2004年12月11日(土)13時30分~17時
【ところ】広島市西区民文化センター 
【ひよう】400円
【主 催】全国在日外国人教育研究協議会
【詳 細】チラシPDF(約1.5Mbyt)

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