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September 23, 2004

在留特別許可事例を類型化してみると

(1)明確な類型化で各種窓口の参考資料に

 8月末に法務省のサイト上で公表されている在留特別許可の事例を、あっしなりに類型化し、各事例の特徴を列挙して、下のような表を作成してみた。
 婚姻理由によるものが多いが、日本で成長する子どもの事例を積極的に例示して見せたのは一定の評価ができる。自分の場合がどうなるのかという当事者の目安にもなるだろうし、生活保護など各種社会保障制度の適用を窓口相手に交渉する際に活用されることになるであろう。ただし、これ以外の場合でも、運用実態において、在留特別許可になることが十分に予想されるケースも少なくないことを、改めて強調しておきたい。

(2)位置付けにふさわしい内容?
 なお、この公表の位置付けについては、同日付け「大臣記者会見の概要」にある。今後も指標として示すものを増やしたい…、とのことである。
 もっと踏み込んだ事例を挙るべきだという指摘や、「その他の法令違反はない」という断り書きを可能な限り全ての事例につけまくったところを批判する向きも当然あるとは思う。
 とはいえ、その後に公表された、帰化や永住者の資格変更の事例集があんまりにもお粗末すぎ。まるで勲章(くんしょう)授与の事例集のようなありさまで、実務者の参考値にもならなければ、「こういう人を永住者とすべきということでいいですね」という合意を広く取り付けることにもならない。
 これまで全く周知させようとする動きはなかったのだし、永住者への資格変更に関する事例集に比べれば、というところではあるのだがが、第一弾としては結構踏み込んだ内容と、今のところは評価しておきたい。

 なお表のデータはXMLに準拠していません。ご面倒でもHTMLベースのブラウザでご覧下さい。

表:法務省が公表している在特事例の類型

日本人および安定滞在する外国人との婚姻
(11例)
日本人男性との婚姻。1子あり。
日本人女性と婚姻。1子あり。
日本人の配偶者を持つ男性。単純OS。
日本人女性との婚姻。元「人文知識・国際業務」からのOS
日本人男性との婚姻。不法入国。
特別永住者との婚姻。
永住者との婚姻。
日配3年で滞在中の日系2世と婚姻し生活が安定。
不法入国後ホステスをしていた女性(24)とその子の摘発先行のケース。摘発1か月前から同居していた日本人男性と摘発後に婚姻。日本人男性が女性の子どもと養子縁組し、3人で同居していた。
国籍の異なるOS外国人同士の婚姻で、2子を設けているケース。キンマウラさん(?)。
日本で出生or成長した子ども
(9例)
日本人父の子(11歳、小学4年)。国内で出生し成長。父に扶養されていた。
日本人母の子(41歳)国外で出生し成人後入国OS10年程度
永住者で滞在中の外国人父とOSだった外国人母の子ども。
日配3年の日系2世の父とかつてOSだった母との間の子。母は単純OS。
日本人の子の養育。母国で結婚しているものの、日本人男性との間に2子をもうけ、男性は認知。4人で夫婦同然の暮らしをしている。
日本人父とOS母との子。日本人の子の養育。親子3人で暮らす。
日本人の子。日本人の子(2子)を養育する母。日本人父は2子を認知するも同居していない。母は不法入国。
偽装残留孤児の子。数年後親とともに上陸許可の取消を受けるが、学業の継続のため。
学業の継続。大学入試失敗に伴い「就学」からの資格変更ができずにいたが翌年国立大学に合格していた。
外国人同士の家族
刑事事件手続き中にOSになった「定住者」。インドシナ難民の女性(32歳)。同国人の夫との間に小学生の2子があり、夫は健康不良。
長期滞在者
長期OSの高齢者。闘病中で合法に滞在する娘の看護を受けている。。
長期(30年超)OSの壮年男性(50歳)と女性(41歳)と、6歳の子ども。
長期間(約50年)合法的に滞在していた日本人の母を持つ男性。薬物関係事件で服役中に在留期限が切れたケース。特別永住者の家族が在留中。
その他
精神的な疾患により適当な手続きがとれずOSとなったインドシナ難民(53歳)。【やむをえない理由のあるOS】
難民として認定。22歳男性。【難民性】

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September 22, 2004

法務省 入管法施行規則の一部を公表

●パブリックコメントで出国命令制度と在留資格の取消制度の規則案公表

 改正入管法のうち、出国命令制度と、在留資格の取消制度について、年末の施行を前に施行規則の法務省案が公表されている。10月1日までの期間、パブリックコメントを募集しているということだが、こと入管分野におけるパブリックコメントの募集は形式的なものに過ぎないので、まあ、この法務省案がそのまま施行規則となって施行を迎えることになるだろう。

出入国管理及び難民認定法施行規則の一部改正に関する意見募集

●聴聞制度はオーソドックスな形式に
 その内容で、とくに見るべきものといえば、在留資格の取消制度の聴聞を規定する部分であろう。
 一読してみて気が付くことだが、行政一般の不利益処分の決定過程で必須とされている聴聞制度をかなりなぞる形になっている。不利益処分の前に行われなければならない聴聞の制度は、昨年度の道路公団の総裁を罷免する際の騒ぎで世に知られることになった制度だが、こうなると、細かな点でどこが同じでどこが違うのかを比較検証してみたくなる。

●難民認定部分から分離し先行公表
 また、内容ではなく公表のやり方ということいえば、難民認定制度に関する施行規則と分離して公表されたことも、ぜひ注目しておきたい。そもそも施行予定の期日がちがうので、それにあわせた分離だと見ることもできるが、あっしは、それ以上の意味があるのではないかと踏んでいる。
 これまでの入管法がらみのパブリックコメントは、まったく形式的なもので意味が薄いのだが、それは、民間の企業や団体の協力に必然性がない分野であるから、世論が騒がない限りは安泰であるという性格による。民間関係者の同意を得るつもりなど同省にはないから、たとえ異論が出ようが、『貴重な意見をありがとうございました』というだけでことがすんでしまうというわけだ。
 ちょっと、脱線するが、たとえば、総務省の行う通信行政がらみのパブリックコメントなどでは、NTTやKDDIやソフトバンクなどが、ときに噛み付くことがあって、ウォッチャーとしてはたいへん面白く、ニュース報道のネタになることも少なくない。これら主要企業と総務省の間には、もちろん馴れ合いもあるが一定の緊張感もある。こうした、緊張感が法務省や入国管理行政の場合はまったくないことが、パブリックコメントがひどく形式化してしまう背景になっている。
 難民制度の施行規則を制定する過程だけは、じつはこれまでにない条件がある。それは法務省が参与委員を外部から調達しなければならないことだ。しかもUNHCRや日弁連の名前が国会の審議で挙がっているだけに、たとえ法務省の省令たる施行規則とはいえ、こうした調達先の意向を無視しがたい構図となっっている。

 ようするに、入管法改正に続く施行規則の改正で難所になるのは、難民認定の部分。まさか、パブリックコメントをしないわけにはいくまい。ぜひご注目あれ。

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