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June 04, 2004

入管法改正論議を観戦して-7 (難民認定制度/60日)

 難民認定制度の改正のうち、前回は参与人制度についての国会の議論を検討してきた。
 ようやく「60日ルール」に移ろうと思う。

(1)国内での申請はそもそも想定外の現行法

 衆院法務委員会が参考人として招いた元入国管理局の神山進氏は次のように語っている。
「79年~80年の当時は、国内に滞在する外国人が申請することなど想定していなかった」
 この神山進は、出入国管理法にはじめて難民認定制度を盛り込んだときに、海外の制度を研究し原案の策定と調整にあたったということで証言を求められたわけで、じっさい難民認定の実務家向けのテキストを著したりしている人物だ。
 政策的に認定制度の整備が急がれていた当時は、インドネシア難民といった海外の難民をいかに認定するかということしか、そもそも当時は念頭になかったわけだ。これは申請者の大部分がいったん在留資格を得て入国してから申請している現状とはかなり意味が異なる想定である。

 当初の入国理由で在留資格を更新することが困難になってから、あるいは在留資格を失ってから申請に及ぶケースがじっさいには多い。これは空港などで難民申請しながら入国を許されるケースがあまりないことの裏返しでもあるのだが…。ましてや、日本滞在中に政変が起きたり自国の大使館に抗議デモを行なったりして、本国政府から新たに目をつけられるようになったケースなどは、はじめからまったくの想定外だったわけだ。

(2)きちんと「60日ルール」は運用されるべきだった!?

 入国後60日以内に難民申請をしなければならないという「60日ルール」は、まことに評判が悪いルールであった。申請数を減らすための足きり効果を発揮するだけだったからである。もし帰国すれば生命の危険がある人を保護するという精神からすれば、60日を過ぎたからといって認定審査の対象外とするこの規定こそ、非人道的なルールに見えていた。

 前出の神山氏は改正案への賛成の立場からの意見陳述を試みたのだが、そのなかで次のようにも語っている。
「その後の運用をみると『やむをえない事情』の但し書きの範囲が硬直的になった」
当時のUNHCRへのヒアリングでも、この但し書きがあれば、60日の規定を置いても問題ないというサジェスチョンをもらったというエピソードまで紹介している。つまり、法案作成時の意図や趣旨からもズレて運用が厳しくなってしまったと振り返ってみせ、無用な批判を受けるハメになったと、今回の改正を支持するのである。

 「まごまごせずに入国管理局にいいに行けばいいではないか」。
 あたかもそのように運用されていて、行政裁判に訴えった申請者の主張をなぎ倒していったこのルールだが、じつは現行法では想定されていない国内居住者の申請が大半になってしまったことと、立法の精神が捻じ曲げられていたことによる結果だったのか。神山氏の意見陳述、なんとも気の抜けた話のように聞えた。

(3)タダシガキが焦点

 もっとも60日ルールの撤廃には、これを否定する議論はほとんどないだろう。むしろセンシティブなのは現行法にあるこの「但し書き」の理解であるように思われる。
 なぜ廃止される規定の、それも但し書きが問題になるかといえば、次に詳解する仮滞在制度の「半年ルール」や「第三国規定」の例外として「援用」されるかいなか。もし援用されるとすれば、どの程度かということを思い起こされるからだ。

 さて、法案が国会を通過成立したことを受けて、国内3大紙の毎日新聞は『認定見直し 「難民鎖国」から変わる第一歩に』という社説を掲載した。毎日新聞社説5/29
 この社説も上記のようなテーマをよくとらえている。ただし文中「難民申請期間を現行の入国後60日から6カ月に延長」としているのは、厳しい制限がついた仮滞在制度の規定を混同してしまった誤り。ネット上のアーカイブに掲載されている場合、もこうした間違いを訂正する手はないのだろうか。

(4)明日6/5に大阪で

 さてさて、今週末に「リバティ大阪」(大阪人権博物館)が特別展示「作られる日本国民」の特別講演として、仮放免中の難民申請者と弁護団や支援NGOのスタッフによるパネルディスカッションが開かれる。入管・難民問題や、中国残留日本人の養子の在留資格の取消しの現状がテーマだというので、この場をかりてご紹介します。

 日時:6月5日(土)
 場所:リバティ大阪(大阪人権博物館)
 地図はこちら→http://www.liberty.or.jp/guide/prof/root.html
 料金:入館料500円。講演に関しては無料。

 まだ仮滞在が残っちゃったけど本稿はこのへんで。

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